ビル管理士、講習と通信どっちを選ぶべき?

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ビル管理士は講習と通信どちらで取得すべき?メリット・デメリットを徹底比較


ビル管理士(正式名称:建築物環境衛生管理技術者)は、特定建築物の環境衛生維持において非常に重要な役割を担う国家資格です。建物の維持管理に関する高い専門知識が求められ、取得すればビルメンテナンス業界でのキャリアアップや資格手当による収入増加など、多くの恩恵を受けられます。ビルメン4点セット(第二種電気工事士、二級ボイラー技士、危険物取扱者乙種4類、第三種冷凍機械責任者)を取得した次に目指す上位資格としても、業界内で極めて高く評価されています。


しかし、いざ資格を取得しようとした際に、多くの人が直面する悩みが「取得方法の選択」です。ビル管理士の資格取得には、大きく分けて「登録講習会を受講して取得するルート」と「国家試験を受験して合格するルート」の2つの方法が存在します。さらに、国家試験対策として「通信講座」を利用する人が多く、結果として「講習会に参加するべきか、それとも通信講座で勉強して試験を受けるべきか」という選択を迫られることになります。


この記事では、講習会ルートと通信講座を利用した試験ルートのそれぞれの特徴、メリットとデメリット、費用の違い、学習スタイル別の向き・不向きについて詳しく解説します。これからビル管理士の取得を目指す方は、ご自身の状況に最も適した方法を選ぶための参考にしてください。


ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)資格を取得する2つのメインルート


ビル管理士の資格を得るためのプロセスは、他の多くの国家資格とは少し異なります。一定の実務経験を満たした上で、指定された講習を受講して修了するか、あるいは年に一度実施される国家試験を受験して合格するかのいずれかを選択できます。ここでは、それぞれのルートの基本的な概要を整理しておきましょう。


ルート1:建築物環境衛生管理技術者講習会(登録講習)を受講する


厚生労働大臣の登録を受けた機関(日本建築衛生管理教育センターなど)が実施する講習会を受講し、全課程を修了した後に修了考査に合格することで資格を取得するルートです。この講習会は、合計で101時間以上のカリキュラムが組まれており、約3週間から1ヶ月程度の日数をかけて行われます。


このルートの最大のポイントは「真面目に受講し、修了考査にパスすればほぼ確実に資格が取得できる」という点にあります。修了考査の合格率は非常に高く、落とすための試験ではありません。講習で学んだ内容をしっかり復習していれば、合格できる内容となっています。


ただし、誰でも受講できるわけではありません。受講資格として、学校等で特定の学科(建築学、機械工学、衛生工学、電気工学など)を修めて卒業した上で一定の建築物環境衛生管理に関する実務経験を有するか、あるいは特定の資格(建築士、技術士、電気主任技術者など)を保有している必要があります。自分の学歴や保有資格、実務経験年数が受講要件を満たしているかを事前にしっかり確認することが不可欠です。


ルート2:国家試験を受験して合格する(独学・通信講座)


もう一つの方法は、毎年秋(通常は10月)に実施される建築物環境衛生管理技術者試験を受験し、合格基準を満たすルートです。試験はマークシート方式で行われ、建築物衛生行政概論、建築物の環境衛生、空気環境の調整、建築物の構造と概論、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ・昆虫等の防除の7科目から出題されます。


この国家試験を受験するためにも受験資格が定められています。具体的には、特定の用途(興行場、百貨店、店舗、事務所、学校、共同住宅など)に供される建築物において、環境衛生上の維持管理に関する実務経験が2年以上必要となります。講習会ルートのような特定の学歴は求められず、実務経験の期間のみが問われるため、現場で長く働いている方にとっては入りやすいルートと言えます。


試験ルートの場合、独学で市販のテキストや過去問題集を使って勉強する人もいますが、広範囲な専門知識を効率よく身につけるために「通信講座」を利用する人が増えています。通信講座であれば、プロの講師が監修したカリキュラムに沿って学習できるため、働きながらでも計画的に合格を目指すことが可能です。


講習会(登録講習)を選ぶメリットとデメリット


それでは、講習会を受講して資格を取得するルートの具体的なメリットとデメリットを深掘りしてみましょう。状況によっては非常に魅力的な選択肢となりますが、乗り越えなければならないハードルも存在します。


講習会ルートのメリット


一番のメリットは「確実性の高さ」です。講習をしっかりと受け、最後の修了考査に合格すれば資格が与えられます。国家試験の合格率は例年10%から20%前後を推移する難関ですが、講習会の修了考査は受講者の大半が合格します。試験本番の一発勝負によるプレッシャーが少なく、講義を真面目に受けるという日々の努力がそのまま結果に結びつきやすいのが最大の魅力です。


また、講習会では専門の講師から直接、最新の法改正や実務に即した知識を体系的に学ぶことができます。自己流の解釈に陥ることなく、正しい知識を順序立てて習得できる点も大きな利点です。同じ目標を持つ同業他社の人たちと長期間一緒に学ぶことで、業界内の人脈作りや情報交換の場として活用できる側面もあります。


講習会ルートのデメリット


一方で、大きなハードルとなるのが「費用」と「時間」です。講習会の受講料は10万円を超え、それに加えて指定テキスト代や、遠方の場合は交通費・宿泊費なども必要になります。会社が費用を負担してくれる場合は良いですが、全額自己負担となるとかなり大きな出費となります。


さらに、101時間以上の講習を平日の日中に連続して受講しなければなりません。期間にして約3週間から1ヶ月間、職場を完全に離れることになります。会社からの強力なバックアップや、長期的な業務免除の許可が下りる環境でなければ、受講スケジュールを確保すること自体が極めて困難です。


そして前述の通り、受講資格のハードルが高い点もデメリットと言えます。特定の学歴や資格を持っていない場合、どれだけ現場での実務経験があっても、そもそも講習会ルートを選ぶことはできません。


講習会(登録講習)の具体的なカリキュラム内容と過ごし方


講習会ルートを選ぶ場合、約1ヶ月間の長丁場をどのように過ごすのかを事前にイメージしておくことが大切です。ここでは講義の内訳や、長期間の講習を乗り切るためのポイントを解説します。


101時間に及ぶ講義の内訳


講習会は、ビル管理に関する法律知識から設備の実務まで、幅広い科目を網羅しています。具体的には、建築物衛生行政概論、建築物の環境衛生、空気環境の調整、建築物の構造と概論、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ・昆虫等の防除といった科目が、時間割に沿って進められます。


特に「空気環境の調整」や「給水及び排水の管理」といった設備系の科目は時間数が多く割り当てられており、専門的な計算や機器の仕組みについて深く学ぶことになります。各科目ごとに専門の講師が登壇し、現場での事例を交えながら講義が行われるため、実務に直結する知識を得られるのが特徴です。


長期間の講習を乗り切るための心構え


朝から夕方まで、高校や大学の授業のように座学を受け続けることになるため、想像以上に体力を消耗します。日々の業務から離れられる解放感がある反面、長時間の着席による集中力の低下に悩まされる受講生も少なくありません。


講習を乗り切るコツは、毎日の復習を欠かさないことです。最終日に行われる修了考査は、講義で説明された重要なポイントから出題されます。講義中に講師が強調した部分にマーカーを引き、その日の夜にノートを見直して整理する習慣をつけるだけで、修了考査への不安は大きく軽減されます。週末などの休みの日にまとめて復習するよりも、毎日の小さな積み重ねが確実な合格へと繋がります。


試験ルート(通信講座)を選ぶメリットとデメリット


次に、通信講座を利用して国家試験の合格を目指すルートのメリットとデメリットを見ていきましょう。現代の忙しいビジネスパーソンにとって、最も現実的で選ばれやすいルートと言えます。


通信講座ルートのメリット


最大のメリットは「自分のペースで学習できること」です。日中はビル管理の現場で働き、帰宅後や休日の空き時間を利用して勉強を進めることができます。講習会のように数週間にわたって職場を離れる必要がないため、現在の仕事を休むことなく、キャリアを継続させながら資格取得を目指せます。


また、費用面でも大きなアドバンテージがあります。国家試験の受験料自体が数千円から1万円程度であり、通信講座の受講料(数万円程度)を合わせても、講習会に参加する費用よりは大幅に安く抑えることができます。初期費用を少なくしたい方にとって、非常に魅力的な選択肢です。


さらに、受験資格が「2年以上の実務経験」のみと比較的緩やかであるため、学歴に関係なく現場でコツコツと経験を積んできた多くの方に門戸が開かれています。学歴要件で講習会を諦めざるを得ない方にとって、まさに希望のルートです。


通信講座ルートのデメリット


デメリットは「合格率の低さと自己管理の難しさ」です。ビル管理士の国家試験は出題範囲が非常に広く、専門的な用語や計算問題も多数出題されます。合格率は毎年10%台から20%台と厳しく、生半可な勉強では合格のボーダーラインを超えることはできません。十分な対策をしていないと、何度も不合格を繰り返してしまう可能性があります。


また、通信講座を利用しても、最終的に机に向かって勉強するのは自分自身です。仕事で疲れて帰ってきた後にテキストを開くモチベーションを維持し、長期間にわたって学習計画を完遂するには、強い意志と自己管理能力が求められます。疑問点が出た際にすぐ講師に質問できる環境が整っていない講座を選んでしまうと、学習が行き詰まって挫折してしまうリスクもあります。


講習と通信(試験ルート)の比較一覧


ここで、講習会ルートと通信講座(試験)ルートの違いを分かりやすく表にまとめました。ご自身の予算や確保できる時間、受講資格の有無と照らし合わせてみてください。表のレイアウトが崩れないよう、シンプルに情報を整理しています。


比較項目 講習会(登録講習)ルート 通信講座(国家試験)ルート
取得の確実性 極めて高い(修了考査の合格率は高い) 低い(国家試験の合格率は10〜20%前後)
必要な費用 高額(受講料10万円以上+テキスト代・交通費など) 比較的安価(受験料+通信講座受講料)
必要な時間・拘束 長期間の物理的拘束あり(約3週間〜1ヶ月の平日日中) 拘束なし(自宅や通勤中など自分のペースで学習)
受験・受講資格 厳しい(特定学歴・保有資格+実務経験が必要) 比較的緩やか(特定用途建築物での実務経験2年以上)
学習スタイル 指定された会場での座学形式(講師から直接学ぶ) テキスト、動画講義、過去問を使った自学自習
会社の協力 必須に近い(長期休暇の取得、業務免除、費用補助など) 不要(個人の努力のみで完結可能)


講習会ルートがおすすめな人の特徴


上記の比較を踏まえた上で、講習会での資格取得を積極的におすすめしたいのは、以下のような条件に当てはまる方です。


1. 会社の強力なバックアップを受けられる人
費用を会社が全額あるいは大部分負担してくれ、さらに「資格取得のための出張扱い」として約1ヶ月間の業務免除が認められる恵まれた環境にいる方であれば、迷わず講習会ルートを選ぶべきです。確実性が最も高く、資格取得後の業務への還元もスムーズに行えます。このような福利厚生が整っている企業にお勤めの場合は、制度を最大限に活用しましょう。


2. 講習会の受講資格を既に満たしている人
大学や専門学校で建築や工学系の指定学科を卒業している、あるいは関連する国家資格(建築士や電気主任技術者など)を既に保有しており、実務経験も規定年数をクリアしている方にとって、講習会は非常に有効な選択肢です。この厳しい条件をクリアしているという特権を活かさない手はありません。


3. 本番の試験に弱く、一発勝負を避けたい人
国家試験は年に1回しかありません。その日の体調不良や、たまたま自分の苦手な分野が多く出題されたことによって不合格になってしまうと、また1年間勉強を続けなければならないという大きな精神的負担があります。プレッシャーに弱く、地道に講義を聞いてコツコツと学習内容を身につける方が得意な方は、講習会向きと言えます。


試験(通信講座)ルートがおすすめな人の特徴


一方で、通信講座を利用して国家試験ルートを目指すのがおすすめなのは、以下のような条件に当てはまる方です。


1. 働きながら自分のペースで資格取得を目指したい人
現在の職場で長期休暇を取得することが不可能であり、日々の業務をこなしながらステップアップを目指す方には通信講座が最適です。通勤時間や休日の空き時間を上手く活用することで、着実に実力をつけることができます。自分のライフスタイルに合わせて学習計画を柔軟に調整できるのが最大の強みです。


2. 資格取得にかかる費用をできるだけ抑えたい人
すべて自己負担で資格取得を目指す場合、10万円を超える講習会費用の捻出は決して容易ではありません。通信講座であれば数万円程度から充実したカリキュラムを受けることができ、非常にコストパフォーマンスに優れています。費用対効果を重視する方には通信講座での試験対策がベストな選択です。


3. 学歴の要件を満たしていないが、現場での実務経験は豊富な人
指定学科の卒業などの要件を満たしていない場合でも、ビルメンテナンスの現場で2年以上しっかりと働いていれば国家試験の受験資格は得られます。学歴の壁を越えて、現場での泥臭い知識と通信講座での体系的な学習を組み合わせて合格を勝ち取ることができる、完全実力主義のルートです。


国家試験対策!通信講座を選ぶ際の重要なポイント


通信講座を利用して国家試験に挑戦することを決めた場合、次に重要になるのが「どの通信講座を選ぶか」です。世の中には様々な講座が存在しますが、ビル管理士の試験範囲は非常に広いため、講座選びが合否を直結すると言っても過言ではありません。以下のポイントを重視して選ぶようにしましょう。


サポート体制の充実度


通信講座の最大の弱点は「孤独になりがち」な点です。学習を進める中で必ず、テキストを読んでも理解できない専門用語や計算問題に直面します。その際、分からない部分を放置してしまうと挫折の原因になります。


そのため、メールや専用アプリを通じて講師に直接質問できるサポート体制が整っている講座を選ぶことが重要です。質問回数に制限がないか、回答までのスピードは早いかなどを事前に確認しておきましょう。また、学習計画の立て方やモチベーション維持に関するカウンセリングを行ってくれる講座もあり、そうした伴走型のサポートがあると学習の継続率が飛躍的に向上します。


テキストや動画教材の分かりやすさ


ビル管理士の学習内容は、建築構造、空調設備、給排水設備、清掃、害虫駆除など多岐にわたります。これらを文字だけの分厚い白黒テキストで理解しようとするのは非常に困難です。


優れた通信講座では、図解やイラストを豊富に用いたフルカラーのテキストが用意されていたり、現場の映像やアニメーションを交えた分かりやすい動画講義が提供されています。スマートフォンやタブレットで動画講義を視聴できる講座であれば、通勤電車の中などのスキマ時間を有効に使うことができます。サンプルテキストや講義動画の一部が公開されている場合は、必ず自分の目で見て相性を確かめ、直感的に「分かりやすい」と感じるものを選びましょう。


過去問対策の徹底具合


ビル管理士の国家試験において最も重要な勉強法は「過去問の反復」です。試験問題の多くは過去に出題された内容の類似問題や、少し視点を変えた問題で構成されています。


したがって、通信講座のカリキュラムが「基礎知識のインプット」だけでなく、「過去問演習によるアウトプット」にどれだけ力を入れているかを確認してください。分野別に整理された過去問題集が付属しているか、丁寧で分かりやすい解説がついているか、最新の法改正に対応した内容になっているかが鍵となります。模擬試験を実施して自分の実力を客観的に測れるシステムがあるとなお良いでしょう。


通信講座で突破する!国家試験の科目別傾向と対策ポイント


通信講座を利用して学習を進めるにあたり、国家試験の各科目の特徴を知っておくことは非常に有利です。ここでは、主要な科目ごとの傾向と対策のポイントを解説します。


建築物衛生行政概論・建築物の環境衛生


この2科目は、法律に関する知識と、温熱環境や光環境といった室内環境の基礎理論が問われます。法律問題は「建築物衛生法」を中心に出題され、数字(面積や届け出の期限など)の暗記が必須となります。通信講座のテキストでまとめられている重要数値を、単語帳やスマートフォンのメモ機能を活用して反復暗記することが最も効果的な対策です。


空気環境の調整


試験の中で最も出題数が多く、かつ計算問題が頻出する最重要科目です。換気量の計算や、空調機器の仕組み、湿り空気線図の読み方など、専門的な理解が求められます。この科目を苦手とする受験生が多いですが、通信講座の動画講義を何度も見返し、講師が解説する計算のプロセスを真似て自力で解けるようになるまで繰り返すことが合格への近道です。ここで得点を稼げるかが合否を大きく左右します。


給水及び排水の管理・建築物の構造と概論


給排水設備に関する知識と、建物を支える構造・材料に関する知識が問われます。給水方式(受水槽方式や直結増圧方式など)の違いや、排水トラップの仕組みなどは、図解を交えて視覚的に理解することが重要です。通信講座のカラーテキストに掲載されている図面や写真を頭に焼き付けるイメージで学習を進めましょう。構造に関しても、コンクリートや鉄骨の特徴を比較しながら覚えると効率的です。


清掃・ねずみ・昆虫等の防除


比較的イメージがしやすく、得点源にしやすい科目です。床材に応じた清掃方法やワックスの種類、ネズミやゴキブリ・蚊といった衛生害虫の生態と駆除方法が出題されます。実生活や日常のビル管理業務と結びつけて覚えやすい内容が多いため、過去問を繰り返し解くことで一気に正答率を引き上げることが可能です。専門用語や薬剤の名前は、語呂合わせなどを駆使して確実に暗記しておきましょう。


働きながらビル管理士に一発合格するための勉強法


通信講座を選んだ後、実際に働きながら合格を勝ち取るための具体的な勉強法について解説します。時間がない社会人だからこその戦略が必要です。


スキマ時間の徹底的な有効活用


働きながらまとまった勉強時間を毎日確保するのは現実的ではありません。そこで重要になるのが「スキマ時間の活用」です。
通勤電車の往復時間を利用して動画講義を視聴したり、お昼休みの残り15分でテキストの1単元を読んだり、就寝前のベッドの中での10分間でその日に学んだことの復習をするといった工夫です。
このように、1日の中で無意識に過ごしている時間を勉強時間に置き換えるだけで、1日トータルで1時間から2時間の学習時間を確保することができます。通信講座のスマートフォン向け学習機能などは、こうしたスキマ時間での学習に最適化されているため、フル活用しましょう。


モチベーションを維持するコツ


ビル管理士の試験勉強は半年から1年程度の長丁場になることが一般的です。途中で中だるみしないための工夫が必要です。
まずは「絶対にこの年に合格する」という強い目的意識を持つことです。資格を取得した後の昇給額を具体的に計算してみたり、転職サイトの好条件の求人情報を眺めてみたりして、合格後の明るい未来をリアルに想像しましょう。
また、SNSなどで同じようにビル管理士を目指している仲間を見つけて交流するのも有効です。お互いの進捗を報告し合うことで、適度な刺激と連帯感が生まれ、学習の継続につながります。


インプットとアウトプットの黄金比率


勉強を始めたばかりの頃は、テキストを読んだり動画を見たりする「インプット」に偏りがちです。しかし、試験本番で点数を取るためには、自力で問題を解く「アウトプット」の訓練が不可欠です。
理想的な比率は「インプット3:アウトプット7」と言われています。一つの分野のテキストを読み終えたら、すぐにその分野の過去問を解いてみてください。間違えた問題の解説を読んで、再度テキストに戻る。このサイクルを高速で繰り返すことで、知識がしっかりと記憶に定着し、本番での応用力が養われます。


ビル管理士を取得した後のリアルなメリットと将来性


資格取得のモチベーションを高めるために、ビル管理士の資格がもたらす具体的なメリットと、業界内での将来性について触れておきます。


給与アップ・資格手当の相場


ビル管理士を取得すると、多くのビルメンテナンス会社で毎月の「資格手当」が支給されます。会社によって異なりますが、毎月5,000円から15,000円程度が相場となっており、年間に換算すると数万円から十数万円の収入アップに直結します。さらに、現場の責任者(所長など)に任命されるケースも増え、役職手当が上乗せされることで、年収ベースで大幅なプラスが見込めます。


転職市場における圧倒的な強さ


延べ面積3,000平方メートル以上の特定建築物では、ビル管理士の選任が法律で義務付けられています。大型の商業施設やオフィスビルが次々と建設される現代において、ビル管理士の有資格者は常に慢性的な人材不足の状況にあります。
そのため、この資格を持っているだけで、転職市場において非常に有利な立場に立つことができます。より待遇の良い大手系列のビルメンテナンス企業や、好条件の設備管理会社からのスカウトも増加し、自身のキャリアを思い通りにデザインしやすくなります。


定年後の再就職にも強い一生モノの資格


ビル管理士の資格は一度取得すれば生涯有効です。体力勝負の現場作業だけでなく、管理業務やマネジメント業務へのシフトが可能になるため、年齢を重ねても長く働き続けることができます。
定年退職後であっても、有資格者としての需要は高く、再就職先を見つけやすいという点も大きな魅力です。老後の安定した収入源を確保するための「一生モノの保険」としても、取得する価値は十分にあります。


ビル管理士の取得方法に関するよくある質問(Q&A)


ここでは、ビル管理士の資格取得に関して、講習と通信ルートのどちらを選ぶか迷っている方からよく寄せられる疑問にお答えします。


講習会の受講資格と国家試験の受験資格の違いを教えてください

講習会の受講資格は、大学や短大、専門学校などで特定の指定学科(建築、機械、電気など)を修めて卒業していること、または特定の国家資格(建築士、電気主任技術者など)を保有していることに加え、一定期間の実務経験が必要となります。
一方で国家試験の受験資格は、特定の学歴や保有資格は問われず、「興行場、百貨店、店舗、事務所、学校、共同住宅など」の用途に供される建築物における環境衛生上の維持管理に関する実務経験が2年以上あることのみが条件となります。学歴要件の厳しさが最も大きな違いです。


講習会の修了考査は難しいですか?落ちる人はいますか?

講習会の最終日に行われる修了考査は、講習で学んだ内容がしっかり理解できているかを確認するためのものです。国家試験のように落とすための試験ではないため、講義中に居眠りをしたり、全く復習をしなかったりしない限り、真面目に取り組めば合格できる難易度です。実際に合格率は非常に高く、大半の方が一度で修了しています。ただし、100%全員が合格するわけではなく、気を抜いて不合格になってしまう方も少なからず存在しますので、油断は禁物です。


通信講座の勉強だけで国家試験に合格することは可能ですか?

十分に可能です。実際に毎年多くの方が通信講座を利用して国家試験に合格しています。市販のテキストによる完全な独学と比較すると、通信講座は試験に出やすい重要なポイントがプロの目線で絞られており、効率的なカリキュラムが組まれているため、回り道をせずに合格レベルに達することができます。ただし、通信講座はあくまで質の高い学習ツールであり、最終的にそれを活用して継続的に勉強するご自身の努力が不可欠であることは忘れないでください。


どちらのルートで取得しても、資格の価値に違いはありますか?

講習会ルートで取得しても、国家試験ルートで取得しても、交付される免状(ビル管理士としての資格)の価値に全く違いはありません。就職や転職の際にも、どちらのルートで取得したかが問われることはほぼなく、等しく「建築物環境衛生管理技術者」として評価されます。そのため、純粋にご自身の環境や条件に最も合った取得方法を選ぶことが正解となります。


まとめ:自分のライフスタイルと環境に合わせて最適な取得ルートを選ぼう


ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)の資格取得において、「講習会(登録講習)ルート」と「試験(通信講座)ルート」のどちらを選ぶべきかは、現在の皆さんの職場環境、経済状況、そして保有している学歴や実務経験によって大きく異なります。


講習会ルートを選ぶべき人:
会社からの全面的な支援(受講費用の負担と約1ヶ月の長期休暇の許可)が得られ、なおかつ厳しい受講資格(特定の学歴や保有資格)を満たしている人。時間とお金に余裕があり、資格取得の確実性を最優先したい場合におすすめです。


試験(通信講座)ルートを選ぶべき人:
現在の仕事を休むことなく、働きながら自分のペースで学習を進めたい人。また、費用をすべて自己負担するためできるだけ安く抑えたい人や、学歴の要件は満たしていないがビル管理の現場での実務経験をしっかり積んでいる人。


どちらのルートを選んだとしても、ビル管理士として求められる高い専門知識を身につけるための真摯な努力が必要であることに変わりはありません。資格取得という目標の先にある、収入アップやキャリアアップした自身の姿を想像しながら、無理のない学習計画を立てて一歩ずつ前進していきましょう。


この記事が、あなたの資格取得への第一歩を踏み出すための明確な道しるべとなれば幸いです。ご自身の現状を客観的に分析し、最適な選択をして、ぜひビル管理士の合格を掴み取ってください。

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